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ラズモ地方の南西に位置する『ルートタウン』、高層ビル等は無く、自然豊かな緑の街に、サヤという15歳の少女がいた。彼女は今日、ポケモントレーナーとして新たな一歩を踏み出そうとしていた。
そもそも、10歳の時に既にトレーナーとしての資格はあったのだが、お気に入りのポケモンが見つからなかったという理由で、この日までトレーナーになる日を先延ばししていたのである。
ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ、
けたたましく鳴る目覚まし時計の音に、サヤは眉をひそめ、布団を被る。しかし……
「サヤー!起きなさい!もう8時過ぎたわよー!」
下から聞こえてくる声を聞き、サヤはようやく体を起こす。
「ふぁ~……」
大きな欠伸を1つして、サヤは時計を見る。
「8時…………8時!?」
サヤは目を見開き、目覚まし時計を凝視した。そしてそこからは、まるでマッハの如く着替えを済ませ、身だしなみを整え、下に降りた。
「全く……ヒガン博士を8時に尋ねるって言ったのはあなたでしょう?」
「昨日は興奮して眠れなかったの!」
サヤは食パンをくわえたまま、家を飛び出した。
「ハァ……落ち着きのない所は、あなたに似たのね」
サヤの母親は苦笑しながら、リビングのテーブルに置いてある男性の写真を見て、呟いた。
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