若草色の襲撃者

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「先にポケモンセンターに行ってろって言われたけど……」 シャワーも浴び、食事も終えたサヤは、ベッドの上でコリンクとチコリータと戯れていた。レンは、用事があると出かけたきり、帰ってこない。 「何してるんだろ、ねぇコリンク」 サヤはコリンクの頭を撫でてやる。そしてそれを羨ましそうに見ているチコリータを、空いている手で撫でる。この二匹はすっかりサヤになついたようだ。 「すまない……」 ドアが開き、レンが帰ってきた。手には、紙袋がある。 「おかえり~……って何持ってるの?」 サヤは不思議そうにレンを見ると、何も言わずにレンが紙袋を差し出した。首を傾げるサヤだが、一応受け取り、中を見る。中に入っていたのは、グリンガム柄のリボンだった。 「これは?」 「ほら、サヤが俺にリボンで止血したじゃないか。それで、血が付いたのは嫌だろうなと思って、新しいのを買ってきたけど……気に入らなかったか?」 レンは、自分がリボンを汚した事を気にしているのだろう。そんな事しなくていいのに……と、心の中で思ったが、口には出さず。レンに抱き付き、感謝の気持ちを表現する。 「ちょっ!お前……」 何か言おうとしたレンの口を、人差し指を立てて塞ぐ。 「ありがと、レン。リボンの事は気にしてないから……」 そう言ってレンから離れ、新しいリボンを付ける。 「……どう?」 「似合ってる」 コリンクとチコリータも、似合ってると言いたげに、ベッドの上で跳ねていた。 「ありがとう。レンもね」 「あ、あぁ……」 少しキョドるレンを見て、おかしかったのか、サヤが微笑むと、レンに近づいた。そして…… 「んんっ……///」 「チコ……///」 「コリ……///」 サヤがレンの口を自身の口で塞いだ。チコリータは顔を隠して恥ずかしがり、コリンクもサヤとレンを凝視する。 「フフッ、じゃあおやすみ」 サヤは口を離すと、すぐにベッドに入った。 レンはというと、サヤの強引な口付けのせいか、しばらく固まって動かなかった。
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