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「ハブネーク、戦闘不能……か」
レンが呟くと、ジギがハブネークをボールに戻し、サヤに近づいた。そして……
「おめでとう、サヤさん。見事な戦いだったよ」
そう言って、サヤに小さなケースを差し出す。
「これは……?」
「バッジケース。これにジムバッジを入れるんだ。その中には私に勝った証としてウィズダムバッジが入っている」
サヤは早速ケースを開き、バッジを確認する。
「やった!ウィズダムバッジゲット!」
サヤは嬉しそうに、ウィズダムバッジを天に向ける。そして、生徒達から、割れんばかりの拍手が送られた。
「今日はありがとう。あなたたちのお陰でジムバッジをゲットできたわ!」
サヤは、ベイリーフとコリンクをボールから出し、抱き締める。コリンクは突然大きくなったベイリーフに少々驚いたようだが、すぐに打ち解けた。
「いい勝負だったな」
レンがソファから腰を上げる。
「レン……」
すると、サヤがレンに抱きつく。
「おい……」
「私ね……ずっと不安だった。負けちゃうかもって……ジム戦でアドバイスは禁止だし、私も未熟だから……」
「サヤ……」
「だから……嬉しかった。みんなが頑張ってくれたから……レンが見守ってくれたから……勝てたんだって……」
「……」
レンは何も言わず、サヤの頭を撫でる。
「レン……?」
「今日のバトル、確かにお前のポケモンの頑張りもある。だけどお前が諦めずに指示を出したから勝てたんだ。そんなに謙遜になることはない。お疲れさま」
「レン……」
サヤは、レンに頭を撫でられながら、より強く抱き締める。
「……ありがとう」
二人はそのまま、しばらく動かなかった。
「レンにサヤ……なかなか面白そうな連中だな……」
ポケモンセンターの外から、二人を見つめる人影がある。
「……せいぜい退屈しのぎにはなってくれよ?」
そう呟くと、人影は夕闇の中に溶けていった。
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