310人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ
「さて……」
仁王立ちするレン、そして、正座するサヤ……。レンの説教タイムの始まりである。
「事情を説明してもらおうか……」
「あ……えっと……はい。実は……」
サヤは順を追って説明する。
「チルットをなつかせようと思ってボールから出したら……その……どっか行っちゃって……花瓶の上にいたから捕まえようとしたら……」
「壊れたと」
「はい……ごめんなさい……」
「というか、何故ボールに戻さなかった?」
「いや、あの……ボール、置き忘れちゃって……」
「まったく……」
レンはため息をつくと、サヤを立たせ、部屋から出るよう促す。
「ポケモンと仲良くなりたいという気持ちは分かった。そうした方が良いと言ったのも俺だ。だが、場所はわきまえてくれ。今回は誰も怪我はなかったが、本当に危ないからな」
「うん……ごめんなさい……」
レンはサヤの肩に手を置き、外に出る。サヤのポケモバを買うために……
「休業ォォ!?何で!!」
サヤが店の中でシャウトする。店員はサヤをなだめ、説明する。
どうやら社長のポケモンが拐われたらしく、社員総出で捜しているという。
「それは大変ですね」
レンが口をはさむ。
「でもどうして拐われたと断言できるのです?」
レンの質問に、店員は声をひそめ、話し出す。
最近、イースシティではポケモンの誘拐が多発しており、そのせいではないかと警察に言われたらしい。盗んだ集団はファウストといい、イースシティから少し離れた森の中にアジトを構えているという。
「そんな忙しい時に……失礼しました」
レンは、まだふてくされているサヤを引っ張り、店を出た。その組織の名、ファウストと呟きながら……
最初のコメントを投稿しよう!