その名はチームファウスト

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店を出てすぐに、レンは街を出ようとした。理由を聞いても返事すらしないレンに、サヤは様子が変だと察した。 「待ってよレン!」 先に行こうとするレンの腕をサヤが掴む、そしてようやく、レンがサヤの方を向いた。 「ん、どうした?」 「それはこっちのセリフよ!急に上の空になったり、街を出ようとしたりして……」 「あぁ、すまない」 「どうしたの?いつものレンじゃない……」 「気にするな。多分社長のポケモンを連れ戻せば、ポケモバを買える。その社長のポケモンとやらを捜そう」 一人喋るレンを見て、サヤは俯く。 「サヤ……」 「いつもなら面倒事は嫌いだって流すのに……今日はどうしたの?」 「……」 「やっぱり気にしてる……ファウストとかって組織の事……」 「……」 「どうしてその組織の事を気にするの?何か関係があるの?教えてよ……」 レンの腕を掴む手に、自然と力がこもる。 「……チームファウスト、この地方の医療団体だ」 「レン……」 「チームファウストは数々の多大な研究成果を発表し、今日までに人間やポケモンの幾多もの治療法を編み出してきた。チームファウスト無しに、今日の医療無し……と言われた程だ」 「そんなに凄い団体がポケモンを……」 「あぁ……何故チームファウストがそんな事をするのか……不思議でしょうがない」 「でも……それだけなの?レンは他にも何か気になる所があるんじゃ……」 レンは一度、ため息をつくと、空を見上げた。 「俺の友人が、チームファウストの技術開発を取り仕切っている」 「友達が……」 「あぁ……今回、あいつが絡んでいるのか……それが気になる」 「……もし、もしだよ。仮にその友達が関わってたら……レンはどうするの?」 「その時は……俺が奴を止める。友として……何があっても……な」 「そっか……」 そう言って、サヤが手を離した時、 「っ!!」 急にレンがサヤの口を塞ぎ、茂みの中に身を潜めた。
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