その名はチームファウスト

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「むーっ!!むぐーっ!!」 「静かにしろ!」 抑えた声でレンが叱咤すると、サヤも静かになり、ようやくレンがサヤの口から手を離した。 「どうしたの?」 レンは何も言わず、ただじっと茂みの外を眺めている。 サヤも茂みの外を見てみると、何やら怪しげな男が野生のポケモンとバトルしていた。男が使っているのはコラッタ、相手はイシツブテ、あまり相性は良くない。 「体当たり……」 男が指示を出すと、コラッタがものすごい勢いで体当たりをかます。すると、信じられない事が起きた。普通ならびくともしないはずのイシツブテが、いとも簡単に気絶してしまったのだ。しかも、コラッタは動かないイシツブテに対して、執拗に攻撃を繰り返している。 「あのコラッタ……すごい強さね」 「……あり得ない」 「えっ?」 「コラッタは倒れた敵に攻撃を繰り出す程、凶暴な性格ではないはず……なのに……」 レンとサヤの前にいるコラッタは、凶暴そのものである。 「どういう事なの?」 「今からそいつを確かめる!」 言い終わるや否や、レンは茂みを飛び出し、その男の前に現れた。 「あんた、ファウストのメンバーか?」 「だとしたら?」 「聞きたい事がある」 「ほう……」 男はコラッタを戻し、レンに向き合う。 「だが私とて名高いファウストのメンバー。そう簡単に口を割らんよ……」 嫌味な笑い声をあげ、レンを見下すように喋り出す。 「お前ごときがファウストに何をするのかは知らんが……なんにせよ止めておけ、お前では何も出来ん」 「随分と上から目線だな……したっぱさんよ……」 「したっぱではない。構成員と呼べ」 「同じだろ……」 男が舌打ちをしたのを見ると、どうやら図星のようだ。 「さて、チームファウストのしたっぱのレベルというのを見させてもらおうか!」 「したっぱではない!……まぁいい、反乱分子を消した功績を残して昇格してやる!」 二人がそれぞれのボールを構える。
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