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「ハァ……ちょっと休憩!」
バッグを開け水筒を取り出し、手近な岩に腰を下ろすと、水筒の中味を一気に飲み干してしまった。
このアラマキ峠は、今までいたイースタウンと、これから向かうバルトタウンとを結ぶ峠で、秋には綺麗な紅葉が見れるため、結構人気なハイキングスポットだ。
「まぁ、真夏にここを通りたがるような人間はいないか……というかサヤ、お前もう少し考えて水分摂れ。また空になるまで飲んでるじゃないか」
話を聞いているのかいないのか、しばらくしてサヤはようやく水筒から口を離した。
「考えるもなにもこんな暑い日に水分摂らなきゃ熱中症になっちゃうよ!」
「いや、だから……まぁいい。そのかわり俺の水筒は飲ませないぞ」
「え~何で~?」
「俺が熱中症になっちまうだろうが!」
「あ~……何処かに水飲み場、無いかなぁ……」
「そうだな……もう少し歩けば休憩所みたいな場所がある。そこで水をもらえばいい」
「よし、じゃあもう一踏ん張り!」
こうして、猛暑の中二人はアラマキ峠を進んでいった。
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