敗者の屈辱

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峠の中腹辺りに位置する休憩所、お土産屋や食事処も設備されている。サヤとレンも到着したようで…… 「やっと着いた~!早くお水飲まなきゃ!」 休憩所に着くや否や、一目散に水飲み場を目指して走るサヤを尻目に、レンは適当な岩場に座り込んだ。 「こんだけあれば大丈夫かな?」 水筒とペットボトルに水を入れ、レンの所に戻ろうとするサヤの肩を誰かが叩く。振り返ったサヤは、一瞬で嫌悪感を顔にだした。 いたのはダイキだった。どうやらダイキもこのアラマキ峠を越えようとしていたらしい。 「久しぶりじゃん!元気にしてたか?」 「あんたに会うまでは元気だったわ……」 「相変わらずひでぇなぁ……そうそう、お前バッジゲットしたのかよ?」 「一応1つね、そういうあんたは?」 「俺?俺は2つだ!」 良いだろ~とバッジを見せてくるダイキに聞こえるように、大きく舌打ちをする。 とそこに、レンが歩み寄ってきた。 「サヤ、そろそろ飯でも食うか?なんなら、ダイキも一緒にどうだ?」 「お、いいのか?じゃあ食おうぜ!」 「ダイキがいるなら私はいい」 乗り気なダイキとは対称的にプイッとそっぽを向くサヤ。しかし、そんなサヤの腹の虫は正直で、情けない音をたてる。 「強がってないで飯にしよう。あそこの食事処に行くか」 「そうだな」 「ダイキの奢りでね」 「ちょっ、待てよ!前に奢ったじゃん!」 「サヤ……」 レンに言われ、少し黙った後、分かったよ……とだけ呟いた。 「レンの前だと素直だほぐぇ!!」 全てを言い終わる前に、サヤのブローが見事に決まり、ダイキは悶絶する。 「ふざけてないで早く来いよ」 レンが苦笑いしながら二人を促す。その後にサヤが続き、 「ふざけて……ねぇ……」 と、未だ起き上がらないダイキの呟きを背に、二人は食事処に入っていった。
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