敗者の屈辱

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「ごめんね、コリンク……」 サヤはコリンクをボールに戻し、残り2つのボールに手をかける。 「お疲れ、モココ」 そしてダイキもまた、ポケモンを戻す。 「……どういうつもり?」 「新しいポケモンでバトルしてみたくてよ。別に構わないだろ?」 「お好きにどうぞ……じゃあ次はチルット!お願い!」 「チルチルッ!」 「じゃあ俺はアリアドス!」 「フフォ……」 「飛行タイプに虫タイプ?相性分かってる?」 「そんな余裕すぐに吹き飛ばしてやるぜ!影分身!」 チルットを取り囲むように、アリアドスの残像が現れる。 「チルッ!?」 「落ち着いてチルット!この中に本物は必ずいるわ!とにかく片っ端からつつく攻撃!」 チルットは自分を取り巻くアリアドスをつつくものの、分身が消えていくだけだ。 「もう一丁影分身!」 それどころか、アリアドスの分身は数を増していく。 「怖い顔!」 分身を含め、全てのアリアドスがお尻をチルットに向けて威嚇する。 「チ……チルゥ……」 威嚇されたチルットは、アリアドスへの攻撃を中断してしまい、隙が生じた。 「チルット!?止まっちゃダメ!」 「遅いよ、ヘドロ爆弾!」 無数のアリアドスの中から一匹が、小さく凝縮されたヘドロをチルットに発射する。 「チルッ!?」 「チルット!」 チルットは苦しそうな顔をしたまま、起き上がらない。 「チルット……まさか毒!?戻っ……」 「無駄……だぜ?」 「えっ……」 見ると、チルットに肉眼では確認するのが難しい、けれども 確かに蜘蛛の糸が無数に絡み付いていた。 「これ……は……」 「アリアドスの技、蜘蛛の巣……さ。対象に糸を絡ませて交代を封じる。お前が影分身を消すのに集中してた時に付けさせてもらった。チルットの試合続行不可を認めれば、戻す事ができるけど、どうする?」 「……チルット……お疲れ様」 チルットの試合続行不可を認め、チルットをボールに戻す。そして、最後のボールに手をかける。 「お願い……ベイリーフ……」 既に覇気も何も無いサヤが、最後のボールを放つ。
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