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「それでは、まずはあなたのポケモンを見せてもらえないかしら?」
サヤは頷き、つい先程部屋から持ってきたボール3つを手に取り、投げる。ボールからは、ベイリーフ、チルット、コリンクが出てくる。
「これで全部ですが……」
サヤのポケモンを見て、スギナは少し考えるような素振りを見せる。
「あの……」
「冒険を始めたばかりにしては、バランスの良いチームね」
スギナはポケモンを一匹ずつ吟味すると、ベイリーフに近づいた。
「このベイリーフが、一番付き合いが長いのね」
「なんで分かるんですか?」
「あなたの事、ずっと不安そうに見ていたから……」
そう言ってベイリーフの頭を撫でた後、立ち上がってサヤを見つめる。
「あなたのパーティはバランスは取れている。けれどそれぞれの戦い方が違い過ぎるから、ちょっと扱うのは難しいかもしれないわ」
「そう……ですか?」
「えぇ。まず、攻撃に重点を置いた戦い方をするコリンクと、味方が有利になるように補助する役割のチルット、そして、攻めと受けができるベイリーフ、それぞれの持ち味を活かすのが先決ね」
そういう事か……サヤは昨日までのバトルを振り返る。力任せに技を出していたような気もするし、ちゃんとポケモンの得意な戦い方を考えていなかったような気もする。
「じゃあそれを身に付ければ……」
「いいえ、その事を踏まえて、自分で戦略を練る。失敗したら、また練り直す。自分らしさというのは、そうやって築いていくものよ」
「……ポケモンだけが頑張るんじゃない、私も頑張らないといけないんだ」
「分かってきたみたいね。戦略を練るのはどうするの?」
「コツみたいなのがあれば……教えてもらいたいです」
「コツ……ねぇ……」
スギナは頭に手をあて、やがてひらめいたかのように顔を上げた。
「そうね。ポケモンと触れ合うのも重要ね。ポケモンと触れ合う事で、そのポケモンの考えや性格のようなものも見えてくるはずよ」
「ポケモンと触れ合う……私、やってみます!アドバイス、ありがとうございました!」
スギナに向かって一礼し、ポケモンを戻して駆けていくサヤを、スギナはずっと見つめていた。
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