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「サヤ!」
レンがサヤに近づくよりも早く、チコリータが、心配そうな表情でサヤを見た
「なんで……チコリータ……私はあなたに酷い事をしたのに……」
「グレイシア!冷凍ビームだ」
グレイシアの放った冷気の光線は、グラエナの体を凍りつかせた
「フゥー……よくやった、戻れグレイシア」
レンはグレイシアをボールに戻し、サヤに近づく
「チコリータは、身の危険を省みずにグラエナから自分を助けてくれたお前を見て、お前をトレーナーだと認めたんだ」
そう言うと、チコリータが肯定するように短く鳴き、サヤにすり寄る
「チコリータ……」
そんなチコリータを、サヤは抱きしめる
「ごめんね……酷い事言ってごめんね……」
そう謝罪し、涙を流すサヤ、そしてそんなサヤを慰めるように頬を嘗めるチコリータには、既に立派な絆が生まれていた。
その後、グラエナを返したサヤとレンは、今日はもう遅いという理由で、明日出発する事になり、とりあえずサヤの家へと向かった
サヤの母親に事情を話すと、快く聞き入れてくれ、レンも夕飯をご馳走になった。
そして、その日の夜……
「昼間は……ぶったりしてすまなかったな」
突然の謝罪に、サヤは振り返る。相変わらずの表情だが、やはり年下の少女をぶったので、反省しているようだった
「ううん、間違ってたのは私だから。ああやって私を怒ってくれたから、チコリータとも仲良くなれたんだもん……だから気にしないで」
そんなレンに、サヤは笑顔で返す
「……私、シャワー浴びて来るから」
「あぁ……」
「……覗かないでよ?」
「分かってる。俺はもう寝るよ」
「お風呂は?」
「1日くらい入らなくてもいいだろ」
やれやれ……といった感じでサヤはレンを見ると、部屋を出て風呂場に向かった。
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