それぞれの誇り

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「話をつけてきた。中に入ってくれ」 言われるがままに中に入り、階段を下る二人、階段を下れば下るほど、何やら騒がしくなってきた。 「何だろうね?」 「さぁな、歓迎のムード一色なんじゃないか?」 「そうかなぁ……多分違うと思うんだけど……」 そんな他愛のない話をしている内に、階段を下り終え、重厚な鉄の扉が現れる。 「この奥か……」 レンが力いっぱい扉を押すと、そこには到底コロシアムと思えない……というか想像とは違った光景が広がっていた。 中にいたのは、所謂ヤクザばかりで、ボクシングのリングのようなものが真ん中に設置され、まるでヤクザだらけのボクシング大会といった様子だ。 「おい、そこのお前」 ヤクザの集団の中から、よく通る、若い男の声が聞こえた。 「お前がチャレンジャー?」 ヤクザの集団から一人の男が姿を現す。 その男はヤクザのような恰好をしてはいるものの、顔立ちは良く、どちらかといえばホストのような感じがする。 「ふーん……なかなか強そうだな。俺はジン、知っての通り、このバルトコロシアムのコロシアムマスターだ」 「チャレンジャーのレン、ミハネタウンから来ました」 「遠路はるばる来た……って感じはしねぇな。まぁいい。とにかく、ここではこっちのルールに従ってもらう。いいか?」 レンは頷き、それを確認したジンは早速ルールの説明に入る。 「ここでのルールは一対一のタイマンバトル。無論、途中で交代することは許されない。ただし、回復は戦闘後のみ許されている。そこにある機械を使えばいい」 そう言ってジンは、リングの片方にのみついている機械を指差す。ちょうど、ポケモンセンターの回復マシーンを縮小したようなものだ。 「チャレンジャーは俺と戦う前に三人抜きをしてもらう。もちろん負けたら終わりだ。もし俺に勝ったなら、その証として『レッドパス』を進呈する。準備はいいか?」 「あぁ……」 「よし、ではリングに上がってくれ。互いに燃え尽きるようなバトルを期待している」 そう言うと、ジンはレンに背を向け、また集団の中へと戻っていった。
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