それぞれの誇り

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先程と同じように、ストライクが一直線に突っ込む。そしてまた同じように、ザングースは分身を作り出す。 「まだ学習してないみたいだな。これでは先程の二の舞だ」 「どうかな?」 「何?」 ストライクは攻撃するように見せかけ、リングのロープを利用して、リングから飛び立つ。 「さぁ、攻撃してみな!」 「チィ……」 レンは気付いていた。ザングースの作り出す分身には実体が無い。そして、ザングースの跳躍力は、ストライクのそれを遥かに劣ると。更に、ストライクは羽を羽ばたかせる事で長時間滞空可能だという事を。 「ザングース!影分身を消せ!そして空中のストライクにブレイククロー!」 ザングースは、ストライクと同じようにロープを使い宙を舞う。そしてストライクに一撃叩き込もうとするが、ストライクの攻撃がそれより速くザングースを捉える。 「忘れたか!ザングースはまだ身代わりがある。これでもう一撃が決まれば!」 ストライクが切ったザングースは消え、その上からザングースのブレイククローが炸裂する。勝負は決まった……かに思われた。しかし…… 「ストライク、カウンター!」 「んだと!?」 ストライクは残りの力を振り絞り、ザングースに強烈な一撃を加える。カウンターを受け、リングに叩き付けられたザングースは、気絶したようで、全く動かなかった。 「し、勝者はチャレンジャー!よってチャレンジャーレンは、バルトコロシアム制覇だぁぁ!」 ウオォォォ!!と会場が沸き立つ。リングの上では、ボロボロになったストライクをボールに戻したレンが、ジンに向き合っていた。 「あの状況でカウンターとは……ぶったまげたぜ。完敗だ……」 「ストライクが覚悟を決めたお陰だ。あいつが限界を超える力を出してくれたから……俺は勝てた」 「トレーナーを信頼しなけりゃ、あんな事はしないだろうよ」 そう言って、ジンは右手を差し出す。 「最高のバトルだった。またバトルしてみたい」 レンは照れ臭そうに笑うと、ジンと堅い握手を交わした。そして会場からは割れんばかりの拍手が木霊した。善戦を繰り広げた二人とそのポケモンを称えるかのように……
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