それぞれの誇り

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「レーンー!」 リングの上にサヤが上がり、そのままの勢いでレンに抱き着いた。 「ちょ、おい……」 「バルトコロシアム制覇おめでとう!」 抱き着いたサヤを強引に振り払うわけにもいかず、抱き着かれたまま恥ずかしそうに頭を掻くレン。その事を察したのか、サヤはレンから離れ、上目遣いでレンを見つめる。 「すごくいいバトルだったよ!レンが負けるんじゃないかってヒヤヒヤしたけど……それでもレンが勝ってくれて嬉しかった!」 と、子供のように(実際にはまだまだ子供なのだが)はしゃぐサヤと、それを微笑み混じりで見つめるレン、そして若干良い雰囲気の二人に置いてきぼりにされるジン。自分に注意を向けようと、わざと大きく咳払う。 「少しいいか?まだ話の途中なんだ」 「あっ、ごめんなさい」 そう言うと、サヤが二、三歩下がる。それからジンは、レンに小さな小箱を差し出した。 「これは……」 「バルトコロシアムを制覇した証となる、パワーシンボルだ。受け取ってくれ」 レンは頷き、パワーシンボルを手にとる。そしてそれをバッグにしまった。 「次のコロシアムは北に位置するレイクシティだ。レイクシティジムもあり、また温泉街としても有名だな」 「温泉街!?」 多分一番関係無いはずのサヤが強い反応を示した。 「じゃあ次はレイクシティだな」 「レイクシティには特急が出ている。それに乗れば迷わず行けるだろう。頑張れよ」 「あぁ!」 そして、二人はまた熱い握手を交わした。
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