偶然の確率

2/12
前へ
/177ページ
次へ
バルトタウンを離れた二人は、ジンに教わった通りに特急に乗り込んだのだが…… 「しかしまぁ……この雪じゃレイクシティ側はもっと大変な事になってるだろうな」 肩に積もった雪を払いながら、レンは目の前の……ひどく不機嫌そうなサヤに話しかける。だが、サヤはそっぽを向いてしまう。 「まぁまぁそう怒るなって」 そう言った男の頭には、一瞬で大きなたん瘤が形成されていた。 「あんたのせいでしょうが!」 サヤが殴った男―ダイキを威嚇するように睨み付ける。 「大体、何で毎回毎回あんたと一緒なわけ!あんた昔みたいにストーキングしてるでしょ!」 「昔みたいに?」 「そうよ!前にダイキは自分が好きになった子の後を……」 「あーあー聞こえなーい!なーんも聞こえなーい!」 流石幼なじみ……とでも言うべきか、いがみ合う割に息はぴったりである。 レン達が乗ったレイクシティ行きの特急は、除雪の為にしばらくの運転見合わせになっている。そこに、偶然(?)通りかかったダイキが現れたというわけだ。 「それで……」 レンはいがみ合う二人を無視して、ダイキの隣に座る少女を指差す。ダイキが通りかかった時から一緒にいたところを見る限り、共に旅をしているようだが…… 「あぁ、ミキの事か」 そのミキという少女は、外見は綺麗というよりはかわいいと言った方がいいだろうか?とにかくかなり良い所の出であるだろう。旅行用の服も、レンやサヤのそれに比べたら到底かなわないような豪華さを見せている。そして、ぽけーっと外を見つめる顔には、どこか幼さが残っている。 「あ~……ミキはこうなるとダメなんだよ」 「ダメ?」 「なんつーか……自分の世界に入り浸っているっていうか……なんかそんな感じ」 釈然としないながらもレンは頷き、ミキとダイキを交互に一瞥する。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

310人が本棚に入れています
本棚に追加