第一章 始まり

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『目覚めて! 氷水! 私達の力が失われるその前に! 早く!』 叫んでいるのは、真紅の絹地に花の柄や、様々な飾りが縫いとめられた着物を着た、幼い少女。 その声は悲痛さに溢れている。 どうしてそんなに泣きそうな声なの……? どうして……? 少女はだんだんと遠ざかっていく。 私が遠ざかっているのかもしれないが…… 「また……この声……」 私は、そんな叫び声がここ二、三日の目覚まし代わりになっている。 ゆっくりと体を起こし、外を見る。 日はまだ昇りきっていない。 時計を見ると、時間は五時。 げ、まだそんな時間なの? 寝直そうかなあ……? 私はそんな叫び声がこれから、始まる出来事の始まりだなんて、夢にも思わなかった。 寝直すのは止めて、そのまま布団の中でぼんやりしていた。
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