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私はひたすら逃げていた。
でも、化け物は私の思っていたよりも速くて、直ぐ追い付かれた。
「お前遅いな。本当に龍か?」
さっきも言った龍とは何なのさー!!
しかし、その言葉を気にしている余裕など私には無いらしい。
敵が目の前にいる。
それだけでもう足は動かなくなってしまった。
動いて……
動いてよっ……!!
「まあ良いか。殺しちまえば一緒だよな」
化け物は大きなカマキリのような手を振り上げながら、そう言った。
腕の体側から出ている鎌は周りの夕日を反射して、鈍く輝いている。
嫌だ!!
殺されるなんて絶対に……
嫌だ!!
強く強く心の中で願う。
『目覚めの時は来た……』
頭の中で聞こえた声は、男らしく低い声の持ち主。
今までの女の子の高い声とは比べる迄もなく、別人の声だ。
しかし、女の子の声もだけど、今の男性の声も凄く懐かしい。
聞いた事は無い筈なのに……
どうして?
謎を深く考える間もなく、その声が聞こえた瞬間、私の体が光に包まれた。
いったいどうなってるのかな……?
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