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「よかったね。祐紀。次は祐紀が幸せになる番だね」
「うん。だから」
「なに?」
早紀は首を傾げた。
祐紀は取ったブーケを早紀に差し出している。
「だから、ママにあげる。ママがしあわせなら、祐紀もしあわせだから」
「祐、紀」
その言葉はまるで彼が言っている様だった。
あの手紙が手紙ではなく。
彼が口から言ってくれたらきっと
『俺はお前が幸せなら、俺も幸せなんだよ。お前の幸せが、きっと、いやっ!!絶対に俺の望みなんだ』
って言ったに違いない。
「ありがとう。祐紀」
早紀は祐紀を抱きしめると言った。
回りの皆はただその光景を微笑んでいた。
コツコツ!!
と靴を鳴らしながら歩く人がいた。
「ここ、かな?」
場所は代わり
今は披露宴の真っ最中だった。
祐紀は新郎新婦よりも出て来る料理に興味津々だった。
披露宴は薫の乾杯の音頭から始まり
今、現役の歌手の葵が歌を歌ったり
二人の恩師達が昔話をしたりしていた。
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