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「次は終点、白陵です。お出口は左側になります」
車掌のアナウンスが聞こえてきた。
早紀は隣で眠っている祐紀を起こした。
「祐紀。着いたわよ」
「んん~。ねむい」
祐紀は眉間にシワを寄せて駄々をこねるように言った。
早紀はため息を吐くと祐紀を負ぶった。
電車は徐々に加速を止める。
そして、完全に停止した時、プシューッと音を起ててドアが開いた。
早紀は今一度、白陵の地に一歩を踏み出した。
電車から降りて改札を潜り、そして時計台を見た。
時間は10:00
式が始まるのは、確か11:00からだった筈
早紀は白陵を見て回りたいと言う気持ちもあったが、早めに式場に向かうことにした。
結婚式の式場と言うのは独特の感じを持っている。
神聖なのは当然なのだが
何か、いろいろな空気が混じったような。
新郎新婦のこれからの期待感
その両親の感動
友人達からの祝福やいろいろな感情が複雑に交わった。
そんな、感じがした。
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