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「えぇ~と、新郎新婦のお二方には失礼を承知でこの場を借りたいと思います」
フードの男は微かに見える口元が笑っていた。
長里も麻奈美もただ黙っている。
「俺はこの場を借りて、ある人にメッセージを送りたいと思います」
葵と薫は目に涙を溜めていた。
フードの男はマイクをスタンドから取るとある場所に向かって歩いて行く。
コツコツ
「・・・・・・・」
「ママ?あのひと」
祐紀は早紀のドレスのスカートを掴んで言った。
早紀はボー然とフードの男を見てるしかなかった。
「橋本 早紀」
フードの男は早紀の名を呼ぶと早紀は立ち上がった。
「・・・・・・お」
「ただいま、帰りました」
男はフードを剥ぎ取る。
そこにはかつて失ったと思った笑顔があった。
「祐」
「祐くん」
「祐さん」
「ユウユウ」
友達は代わらず彼の名を呼んだ。
『早瀬 祐。ただいま帰りました』
また言うと早紀は祐に抱き着いた。
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