第四章~すれ違いの優しさ~

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毎日通る帰り道…。 今日はいつもよりも、少し寒いようだ。頬に吹き付ける風が、二人の体温をわずかに低くしている。               「風…冷たいね」 「そうだな、冬が近付いてるしな」 流唯は首に巻かれているマフラーを、志弦の首へと巻き付けた。 「駄目だよ!先輩が風邪、ひいちゃう」 「俺は大丈夫だよ。志弦より体が頑丈に出来てるからさ」 皮肉めいたその笑顔から、優しさを感じ…志弦はマフラーをキュッと握り締めた。                                               「…ぁりがと」                                               その眼差しは、彼女を穏やかに見つめ返していた。 二人が付き合い初めてから、もう少しで四週間が経とうとしている…。 にも関わらず、二人は休みの日に遊びに出掛けるという事が一切なかった。何度か試みているのだが…その度に、何処で情報を仕入れてくるのか――取り巻き達が必ず現れるのである。そして毎回の如く、デートは邪魔をされ、失敗に終わるのであった…。                 人気者の流唯と付き合うと言う事――。               ある程度の覚悟をしていたとはいえ、さすがに寂しかった。只でさえ学年が違うのだから、休みの日には二人きりで逢いたい。本音ではそう思っているのだが…臆病な志弦には、今でもそうはっきりと言う事が出来ないでいた…。
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