第二章~出逢い~

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同時に、一層に増した緊張感が体を覆う。 ――カサッ 手紙を開く音がする。 沈黙が走り、その綴った(つづった)文字を読んでくれている事がわかる。                                               ――不安で、不安で…。                                               その時間は、とんでもなく長く感じた。 「ありがとう」 長い長い沈黙の後に聞こえたのは、そんな台詞だった。 「?」 言っている意味がいまいち理解出来なくて混乱する。 「…伝わった、かな?」 ハニカミながら、少し照れた顔付きで自分の鼻頭を触った。 「……嘘」 「宜しく…゛佐伯 志弦(しづる)゛さん」 差し出したその右手を、志弦はゆっくりと握り返す。その手はとても暖かくて、何だか少し可笑しかった。 「どしたの?」 「ぅぅん、何でもないです」 「?」 「私こそ、宜しくお願いします」 そしてもう一度強く、その手を握り返した。 「何か、変だね」 突然に笑い出した流唯を、志弦は首を傾けて見つめた。 「何が、ですか?」 「お互いに『宜しくお願いします』なんてさ」 言おうとしている事がわかり、志弦も微かに笑った。 「そうですね」 「…帰ろっか?」 「はいっ!」                                                                             ――――…………‥‥                                                                             ――それが、初めての出逢いだった。季節は、秋。肌にあたる冷たい風が、冬の訪れを告げようとしていた…。
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