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「先生、人間って愚かな生き物だと思いませんか?」
風浦さんはいつものように微笑みを絶やさずに私の目をじい、と見ながらいきなりこんな事を言ってきたのです
「はあ…貴女はまたいきなり何を」
「例えば、付き合っている人に愛してる、一生離さない…など、そんな事を言われればすぐ嬉しがってその人の虜になる…愛とかそんなもの、くだらないと思いませんか?」
「まあ…確かにそうなのですが…でも先生はくだらないとは思わないですね…」
すると先程までの微笑みが無くなり無表情で私に問い掛けてきました
「何故ですか?」
その風浦さんの瞳は赤く光っていて凄く恐怖感を覚えました
「何故、と言われても…沢山の愛があってこそ、私達皆が今此処に存在しているわけでしょう?」
彼女の問いに対してこれくらいしか言えませんでした
「でも私もそんな事言われれば嬉しく思ってしまう…虜になってしまう、そんな人が1人居ます」
「……それは、誰…ですか?」
またにこりと笑って私にそう言ってきました。目は笑ってはいなかったけど
「…気になりますか?」
「…まあ…気になります」
すると風浦さんは私の顔に自分の顔を近付けてこう言いました
「貴方ですよ、糸色望先生」
「…………っ、」
「私は先生が好きです。あの桜の木の下で会った時から…先生だけを見ていました」
透き通るような、真っ赤で綺麗な赤い瞳
じっと見ていると吸い込まれそうなほど
いつの間にか私の唇と風浦さんの唇が重なっていました
「……風浦さ、ん…」
「私を好きになって、私の事を愛してると言って下さい」
【始まりは桜の下で】
(先生しか、見えないから)
不意に思いついた話
こんな可符香可愛いな、と思い書きました
相変わらず似てなくてすいません
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