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気がつくと僕は知らない町を見下ろしていた。
建物や歩いてる人の服を見た感じでは僕が居る時代のものでは無いと予想できた。
「痛い、止めて!」
突然後ろから女の子の叫び声が聞こえて振り返ると、
僕と同じ歳くらいの女の子が男に手首を捕まれ吊るされているところだった。
僕はその子の容姿を見て目を疑った。
白金の長い髪
左の白い瞳
右の赤い瞳
「悪魔の子が俺達の町をうろつくな!」
男の怒号が響き手首をつかんでいた男が少女を投げ飛ばす。
ズサッ「うぅ」
転んだ少女に向けて何所からか怒号と共に石が飛んできて少女を掠める。
一つの石が引き金になったのか周りの人間から石を投げられている。
「悪魔の子がっ」
皆その言葉を少女に叫びながら石を投げる。
「私は何もしてない、ただ買い物に着ただけ!!」
凛とした声で言い放つも石と怒号が少女に向けて飛んでく、石が当たるたびにくぐもった声が漏れる、
その内の一個が少女の額に当たり血が出てくる。
僕は少女を庇おうと少女の所に向かおうとするも動けない、声も出せない、
僕は何も出来ない自分に焦燥感にかられた。
そこに荷物を背負った一人の青年が出てきて少女を庇うように立つ。「止めろよ!この子はなにもしてないだろ!!」
「誰だお前、この町の人間じゃないな」
「俺はただの旅人だ、どんな理由があるかは知らんが、こんな小さな少女に石を投げるなど恥ずかしくないのか!」
「そいつは悪魔の子なんだ!その姿を見ればわかるだろ!」
「はぁ?ただの女の子じゃないか、そんな子供に石を投げるようなお前達こそ悪魔だ!」
青年が大声で叫ぶと周囲の人は顔を歪め下を向きながらそそくさと去っていった。
「大丈夫かい?」
と青年が言ったが少女は
「大丈夫です、旅人さん私に関わらないほうがいいです」
と小さく言い走り去っていった。
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