流れ流され着いたよ魔界

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 のどかな日の元。辺り一面に広がる緑の芝生。昼寝の一つでもしたくなるそんな気持ちの良い何気ない景色。  はて、ここは一体何処なんだろうか? 「ここは一体何処なんだろうか?」  思い付いた気持ちをそのまま言霊に載せる。 じゃなかったら、俺は思考の闇に落ちてしまっても可笑しくないぐらいに不可解な現実。 「大丈夫か、ルシファ? ……もしや、まだ生き返った際の不調が治りきっておらぬのか?」  やっちまった。俺が闇に落ちる程度の悩みのせいで、隣を歩いていたサテナがその秀麗な容姿を心配に歪めてしまった。 「いや、違うよサテナ。ただ此処が予想外にのどか過ぎたから不思議に思っただけだ」  え? なんで、のどかなのが不思議なんだって?  そんなの決まってる……  此処、魔界だよ? 「何だ、そういう事か……」  俺の言葉に安心したのか、そう言って息をつくサテナ。  うん。それを良かった、と思える様になった辺り俺も多少はまともになったのだろうな。  これがサテナ以外にも思えれば、俺も常識人の仲間入りに違いない。 「ふふっ、良き所であろう? 我が城に戻る前に少し主と歩いておきたい、と思うてな……」  そう言って、一面に広がる緑の向こう。広がる青空を眺めるサテナ。  いや、正直な所助かった。 もし、俺の想像通りの魔界だったなら、サテナの父親に挨拶に向かうこの道程の恐怖は、もう、ひとしおだったに違いない。 「それにの、なんじゃ……? 両親に会うというのは、それはそれは緊張するものと読んだからのう。その心の準備も兼ねておる訳なのだ……」  会えなかった時を経ても、相変わらず気が利くというか優しいというか、そんな所は全く変わっていないらしい。  ……まあ、そんなサテナには悪いんだけど、多分一日や二日稼いだ所でもやっぱり、殺されるかもしれないという不安が薄れる事はないと思う。 いや、本当、申し訳ない。  そんな不安を胸いっぱいに抱えていると、不意にサテナの顔が朱に染まる。 「……むう。こういう事を口にするのは無性に気恥ずかしいものがあるの……」  ……あーあ、まあ、あれだ。覚悟を決めれば良いだけの話なんだよ、実際の所。
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