流れ流され着いたよ魔界

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 そのエルトナと呼ばれた女性はサテナの労いに一度礼を返し、楚々とした動作で後ろを振り向く。 「シル、ファー」  エルトナという女性が名を口にする。 すると、先程の彼女と同じ様に闇の中から二人の子供が現れた。  男の方は人間でいったなら十四から十六の頃の様に見え、女の方はそれより一つ二つ上くらいだろうか。 「「お帰りなさいませ、サテナお嬢様」」  声を揃え、各々に己に相応しい作法でもってサテナの帰還を迎え、そんな二人の挨拶が終わるのを見計らい、エルトナが声をかける。 「私は御嬢様から承った用事を済ませてきます。その間、貴方達二人で御嬢様とその御客人を、広間に案内して差し上げなさい」  エルトナという女性がそう二人に仕事を任せると、シルとファーと呼ばれた子供達は声を揃えて了解の言葉を発する。  いや、それにしても凄い教育っぷりだな。見事に乱れる事ない様はまるで軍人のようにも見える。 「シル、ファー、頼むぞ? くれぐれもルシファに粗相のないようにな」 「「はい、御嬢様」」  これまた見事なユニゾンを見届けて、サテナが満足そうに微笑む。  エルトナという女性が保母ならば、この二人は妹や弟の様なものなのだろうな。 サテナが微笑みを向けた途端、二人も嬉しそうにはにかむ。 なるほど、魔界といえど意外と微笑ましいもんだな、サテナの実家は? 「よしよし……。主よ、この二人は頼りにしていて良いぞ? 何せ、魔力だけで言えばあのゼルグよりも高いのだからの」  従者までもが魔王レベル? 「だがエルトナに比べればまだまだなのだがな。いや、だからこそこれらの成長が楽しみである、という事なのだけれどの?」  そんな楽しい新情報に、俺の生存確率が軒並み下落の大暴落。  いや、何だろうね、これ?
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