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相変わらずの第一印象に多少、己の父親の異常さを嘆きながらも、そんな事を考えている場合じゃないと頭を切り替える。
いや、でも悪魔もひくぐらいって。親父、一体何処を目指してたんだろうね?
「ふむ……。しかしアスモデウトとは余り聞かぬ家名だな?」
ふとした疑問を挙げるサテナの親父さん。
歯切れが悪くなっていたのは何も名前のせいだけではなかったらしい。
「ああ、そうであろうな。なにせ、この者は妾が人間界から連れて来た者だからの?」
「…………!?」
あ、冷や汗浮かべてる。
「何やら理由があって人間の身で現し世を生きていたのだが、彼の者の真なる姿が半魔族と知ってこちらへと連れて来たのじゃ」
「は、半魔族……!?」
お、青筋立った。
「う、む……。時にルシファ? 妾は主がその体になってから、その実力の程を聞いてはおらぬのだが。調子の程はどの様なものかの?」
俺の体が心配なのか、多少不安げにそう尋ねてくるサテナ。
何となくその不安を消してやりたいとは思うのだが、嘘を言ってしまうと、それがばれた時に余計な心配事に成り兼ねない。
「ああ、なんだかこっちに来てからずっと軽い魔力欠乏状態なんだよな?」
俺が仕方なく本当の事を話すと、案の定サテナは更に顔を不安の色に染めて、こちらを伺ってくる。
「それは大丈夫な事なのか、主よ……?」
そんな瞳に見詰められ、どうにも嗜虐心を掻き立てられるが、彼女の父親を目の前にして阿呆の様に調子にのるのは命の保証がない。
まあ、そんな心配無駄っぽいかも知れないけどな?
「……んのぅぅお…………!」
すげぇな、頭から湯気出てるよ。
ああ、違う、視認出来るほどの濃厚な怒りの魔力だこれ♪
「ん、まあ問題はないだろ。前の時と違って身体の調子は逆にいい感じだからな」
そう言ってから、確認のため、手を開いて閉じての反復運動をしてみる。
「ん、問題ない。……?」
俺の閉じた手を何か優しげな何かが包む。
顔を上げると、そこにいたのはサテナで、自分の手を包んだのが彼女の手だという事に気付く。
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