3.復讐の胎動

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約束まで、暫く時間を潰さなければならなかった。 コンビニに立ち寄り、 ブラブラと時が経つのを待った。 いつもの習慣で雑誌コーナーを見ると、 週刊誌の見出しが、先日のイジメ自殺を糾弾しているのが目に付いて一人、嘲笑いが出た。 こんなものは、騒げば騒ぐ程 水面下に潜っていく。 より陰湿に、より発見されにくくなり、 騒いだ張本人達は それを持って「イジメは減った。」なんて馬鹿な認識をして終わり。 その時、こいつらは、 本当の意味での責任をとれるのだろうか? 〈中途半端に掻き回すのなら、ほっといてくれ。〉 ふと、時計が目に入ると、 約束の時間になっていた。 「誰にも見られるな、今は繋がりがバレない方がいい。」 そう言っていた充の言葉を守りながら 慎重に待ち合わせ場所へ移動、 そして着こうとした手前、 充と誰かが話しているのが見えた… 〈嶋田!?〉 そう、それは嶋田圭司だった…。 「嶋田君、待っていたよ…。」 「何なんだよ。さっきは探してたんだぜ…」 うっすらと会話が聞こえる。 充にか、嶋田にか、 見つかってはいけないと思い、 物陰から、続きを聞いた。 「嶋田君‥この二週間、 僕がただ、早く帰っていたと思ったかい?」 「な‥何が言いたいんだよ…」 「君達のグループのことを、調べてたんだ… 羽生達の家にも後を付けて 場所は知っている。 勿論、君の家もだ…。 この意味が分かるね…?」 嶋田は驚いていた…。 明らかに、動揺しているのが分かる…。 充が、嶋田の弱みになることを 何か、掴んだのは、僕にも気付けた… その時一瞬、 嶋田の反撃で、充は胸ぐらを掴まれる。 「てめぇ…!」 だが、嶋田には続く言葉が無かった。 対して、 充が、胸ぐらを掴まれながら言った。 「言わないよ…嶋田君が…―‥――…」 後は聞き取れなかった…。 ただ、この時から‥ 僕には気付づかない微弱さで、 復讐は静かに、 且つ強く、 胎動を始めていたのだった…。
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