1.出会い

4/5
76人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
いつもの慣習では、 朝授業前からイジメが始まり、 休み時間になると、またイジメられ… の繰り返しだが、 今朝は違った。 それは、テレビドラマでもありがちな光景で、 左横に、真新しい制服を来た生徒を従えた教師が、 何時もよりやや偉そうにその生徒を紹介し始める。 そう、今日が違った日になった訳は、 転校生と言う〈異物〉に気を持って行かれたからだ。 「はい、今日からみんなの新しい仲間になる、 草間充くんだ…」 仲間? もしかしたら、 僕にとっては、敵になるかも知れない相手だ、 そう思い、 目を反らさず、且つ悟られないよう じっくり観察した…。 「草間充です…」 と、そいつは何故か下目使いに 舐めまわすようみんなをみた後、 ゆっくりと挨拶を続けた… 「宜しくお願いします…。」 と同時に、僕はビクッとした… そいつが舐めまわすように見た時、 一瞬、目が合ってしまった… 日頃からイジメにあっているおかげで、 まるで草食動物かの如く 人の中の〈人〉を注視する習慣が染み付いている。 その転校生の目の奥に潜んでいるものは、 そんな僕の心の警笛を一気に、 フルボリュームで鳴らす何かを持っていた…
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!