幸せの最果て

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「薫子。」 「…はい、お呼びでしょうか?」 薫子は若いにも関わらず上品な身のこなしでこちらに向かって歩いてきた。 「せっかくの二人きりの時間なのだ。 花を愛でるのもよいが、もっと私のそばに来ておくれ。」 「…はい。申し訳ございません。」 薫子は口に手を当てて、クスクスと笑った。 …私には妻も子供も居る。 だが… 妻との結婚は私の望んだものではなく、私は結婚生活に少なからず不満を抱いていたのであろう。 …私には遥か昔から、想い人がいたのだから。 「…おじしゃま?」 初めて薫子に会った時、舌ったらずで首をかしげる薫子を可愛らしいと思った。 当たり前といえば当たり前の感覚。 この位の年齢の子はみな可愛いい。 けれど、その感情には次第に変化が訪れはじめる。
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