幸せの最果て

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あれは、薫子が12の誕生日を迎えた秋の事だった。 私は、可愛い薫子に誕生日の祝いの品をやるために、薫子の家に向かっている道中だった。 ドン!!!と肩に何かがぶつかって私は倒れてしまった。 今の季節は秋だというのにも関わらず、桜の香りがした。 柔らかく、かぐわしいその香りに、私は転んだ事も忘れしばらく酔っていた。 すると、その桜の香りの主であろう女は… 「…申し訳ありません! わたくしったら、急いでいたあまりに…」 そう言って、私の荷物を拾い私に手渡した。 長く、艶やかな黒髪を持つ瞳の澄んだ女だった。 一瞬他人かと思った。…が、その澄んだ丸い瞳は私の知っているものだった。 「…か…おる…こ?」 「ハイ! オジサマ覚えていて下さったのですね?」
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