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些細な事だった。
原因はもう誰も覚えていない。
いつだったかも覚えていない。
ただ、全員夏服だったので初夏の頃だと思う。
高校生活も二年目に突入。
クラス変えもあり、まだ、みんなそんなによくは知らなかった頃だった。
特にこのクラスでは男女間の交流はほとんどなかった。
授業も終り、本当なら、みんな帰るだけだった。
なのに、たまたま教室に残った男子6人と、女子10人とで言い争いになってしまった。
些細な事だったと思う。
口喧嘩になった時の女子高生は案外と口が悪い。マシンガンのように、罵声を浴びせ、完全に男子を圧倒してしまった。
やはり口喧嘩では男は女子には全く太刀打ちできない。
腕力では男。口では女。昔からそう決まっている。
しかし、女子高生たちの罵声は、かなりヒートアップしてきた。
最初は果敢に対抗していた男子たちも、この段階では、ただただ、女子高生達に言われるがまま。
何にも言い返すことができなくなってしまった。
彼女達の罵声に黙って堪えるだけだ。
だが、このままでは怒りに身を任せて、女子に手をあげてしまいかねない。
女子の大半が茶髪金髪ギャル達で普段から生意気だった。
ここらが潮時だろう。
男子のリーダー格、真中は男らしいところを強調し、男子達に
「行くぞ」
と声をかけた。
男子達は皆席を立ち教室を出て行こうとし始めた。
男は無言で去る。
それがいい。
口だけの女子には勝手に言わせておけばいい。
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