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軽く突かれただけだったがアキナは
「ぃってぇ」
と叫んだ。
武田は一瞬、狼狽した。他の男子達も慌てた。
もし、アキナが泣き出し、女子達が担任に言い付けると言い出したら欝陶しい。
何しろ女子は嘘が上手い。
腕力で男に敵わない分だけ、口が上手い。
嘘は女の唯一の武器だ。
だが、アキナは泣くどころか
「何すんだよ!テメェ!殺すぞぉ」
と怒鳴り返してきた。
背が低く、黒髪ショートカット、丸い瞳に童顔、アイテムは全てパステルカラーで、男子の間では人気の高いアイドル系のアキナとは思えない態度だった。
マユミやルナも
「ぉ前らぁ、目茶苦茶にしてやるぞぉ」
などと、罵りだした。
彼女達のあまりの迫力に一瞬、男子達は呑まれ圧倒されてしまった。
勢いづいた女子たちは
「女にここまで言われても何にもできんのかぁ」「こぃよ!たっぷり痛めつけてやるよ!」
「無理じゃなぃの?こぃつら女子が怖ぃから」
と罵声を浴びせてきた。
一時は女子の迫力に呑まれた男子達も、次第に落ち着きを取り戻しはじめた。
女子など所詮、口だけだ。
腕力では男の敵ではない。
男子の方が遥かに女子より強い。
男子が女子に劣る事は絶対にない。
だが、お姉系のリサが
「早くぉ家に帰ってママにぃ、クラスの女の子達にィジメられましたぁって、報告してこいよぉ」と笑い飛ばした。
その言葉に男子達の我慢の限界がついに来た。
「あったま来た!」
武田が爆発した。
武田だけじゃない。
「もう女子だろが関係ねぇ!」
真中も炸裂した。
「女子のくせにふざけるな!」
普段おとなしい小林も井上も二谷も川田も破裂した。
「やんのぉ?貧弱男子がぁ。女子に負けて泣くなよぉ!」
それを待っていたと言わんばかりに、女子達も爆発した。
いきなり16人入り乱れての大乱闘になってしまった。
数の上では6対10で男子が不利だが、真中始め男子達は誰も不利だとは思ってなかった。
仮にも男である。
女子相手の喧嘩など、男子一人に対し、二人から三人の女子を叩き伏せることが出来ると思っていたからだ。
しかし、頭に血が昇った男子達は気付かなかったが、この時、金髪ギャルのエリナとミカ。
ロリ系のマユミとルナが少し下がり、喧嘩から身を引いていた。
つまり、実際に最初に喧嘩になったのは、6人同士で、タイマンっぽかった。
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