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街を散策して、帰る手掛かり探してみるかと言われたので、話しに出した桜の木の所まで行く事した。
途中、所々風景が様変わりしていて、目尻に涙が溜まる。
数分後、目的の場所に到着。着いて直ぐ、万里子は木から数㎝離れた場所に立ち、そこから街の風景を眺めた。
「久しぶりに来るけど、やっぱ此処から見る街並みは、壮観だよな」
と蒼谷さんが言う。一応この時代では、年上に当たる訳で不本意ながらも、敬語を使うことにした。
木に片手を当てて、街の風景を眺める蒼谷さんの横顔を、凝視して見る。
顔立ちから身体の線等、全身隈なく見て、自分の知る蒼谷と何から何まで違って大人なんだと納得する。
自分の視線に気付いた蒼谷さんは、
「何?そんなにジッと見て。目線がエロいよ」
口端をあげて怪しい笑みを浮かべる。
蒼谷さんの言葉で、顔が熱くなるのを感じた。
「わっ!茹だこだー」
熱でもあるのかな、と大きくてゴツゴツした手を、私の額に当てた。
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