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蒼谷さんの手が予想より冷たくて、気持ち良いのと恥ずかしいが混ざって目をギュッと閉じる。
私の異変に気付いたのか、目を開けると蒼谷さんの顔が目の前にあって、心臓が止まる勢いで、後退りした。
「そんな逃げなくても、良くない?」
誰でも逃げますから、と声にならない悲鳴をあげた。
「そういう所は、素直で可愛いのにね!」
耳を疑う事を言われ、胸がキュンと鳴った様だった。
話しを逸らす為に、蒼谷さんと一緒にいた女の子の話しをしてみる。
此処に来る前に姉に預けた事。名前は『愛』で、母親の事を聞くと悲しそうな顔を向けられ、何故か罪悪感で胸が締め付けられた。
「この桜は関係無いんじゃない。見てても何も起きないし、てか本当に咲いたの?夢見ただけとか…」
そんな筈ないです。この目で見たんですから、と力説すると、
「じゃあ本人に聞いてみる?」
と、ポケットから携帯を取り出し、何処かに電話を掛け出した。
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