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すると、今まで硬い蕾しか出ていなかった枝に、突如淡いピンクの花が咲き乱れた。
「なっ!?……何…これ………」
驚きを隠せない表情で、木の側から離れようとした。
途端、まばゆい光に包まれ意識を失った。
どれくらい眠っていたのだろうか。辺りはすっかり暗くなっていた。
木を見上げると、先程まで咲いていた花は無く、まだ咲くには早い緑色の蕾があるだけだった。
「あれは…何だったの?」
頭に疑問を抱えながら、覚束ない足どりで、帰路へ着くことにした。
途中、携帯を見て着信が十数件ある事を確認する。全て蒼谷からだった。
本来なら、今掛け直し電話越しでも謝罪すべきだろう。
しかし、万里子は電話を掛ける事は無かった。それよりも、早く家に帰り深い眠りに付きたいと思っていた。
家に着くと相変わらず、明かりは付いておらず、渋々自分の鍵でドアを開け、鍵を閉めると直ぐに自室のある二階へと足を向ける。
部屋へ入るなり、そのままベッドへ直行した。
明日朝一番に、蒼谷に謝りに行こう。
そう思い眠りに就く。
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