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「虎ノ介。お前と薫の分、それから鳥雅のもここに運べ」
「かしこまりました」と虎ノ介は頭を下げ、「おれの分はおれが持ってくる、と。で、ふたばは荒木薫のを……あれ? 鳥雅は?」
ギクリとして俯く亜弥を尻目に、虎ノ介は「自分で持ってこさせようと思ったのに」と部屋を見回す。
「お部屋にいるのでは?」とふたば。
「まあいいや。とりあえず、ふたばは荒木薫のを持ってきてよ。おれ、自分の取りに行きがてら探してみる」
言いながら虎ノ介は立ち上がり、戸に向かう。
失礼しました、と膝をつき、虎ノ介は顔を上げて、キッと薫を睨んだ。
「おれは謝らねーから」
ぴしゃり。
襖が閉まり、皇士郎と薫は顔を見合わせて苦笑いした。
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