アイシテル。

春、始まり

「いってきまーす！」

朝６時半。
あまり出勤ラッシュとは言えない時間に、一人の女性が家を出た。

彼女は滝川亜紀。
２２歳。
仕事は事務員。
最近入った新入社員だ。

小柄で色白、目は黒目がちで、茶色のボブが引立つ顔立ちだ。
好きな食べものは苺のショートケーキ
嫌いな食べものはピーマンと言う、少し子供っぽい所が残っている様な女性だ。

亜紀は新人なので一番早くに会社に行き、事務所の掃除や仕事の準備をしなければならない。

そのせいでこんなに朝早い時間に家を出発しなければいけないのだ。

少し肌寒くも感じる春の初め。

仕事は８時から始まるのに、こんな時間に出勤なんて、普通の人なら嫌がるだろう。

だが亜紀は全く苦には思っていない。