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「いいじゃねぇかよ。七海って可愛いじゃん」
悠一がそう言うと葵は少しムッと口を尖らせて、持っていた数学のノートでベシッと悠一の頭を殴った。
「あいたっ!!なんだよ、叩く事ないじゃんか。」
「うっせー。男に可愛いってありえねぇ。」
出会ったときから葵は、下の名前で呼ぶと怒る。
あんまりいい思い出がないみたいだ。
それでも悠一は葵を下の名前で呼ぶので、いつしか葵も本気で怒らなくなった。
「んで、部活見に来る?」
悠一はそう言いながら、葵のペンケースを片付ける。
「行ってやるよ。」
葵は器用に全て閉まって、鞄を持ち上げた。
「んじゃ、行こうか。」
ニッと白い歯を見せて悠一は笑った。
薄い水色の空を目指して二人は歩き出した。
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