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「丸ごとエレベーターか! すげぇなぁ!」
下に降りている感覚を感じながら、カグラは言う。
「恐縮です。さて、お疲れ様でした。今回は何処からお出でになったのですか?」
「『ソーティア』から」
はしゃぎまわって壁をトントン叩いたり耳を当てて動いてるのを確認したりして話を聞いていないカグラの代わりに、それを少し呆れ気味に横目で見ていたフェイが答えた。
「それはまた遠い所から! あそこは交通手段があまり無いですからね」
「あぁ、確かに。無駄に……時間がかかった」
途中、襲ってきたあの『昏きもの』――デリルの事は言わなかった。ココの管轄ではないのもあるし、何より……一緒に居ながらあの夫婦と女性を助けられなかった、その事を相方に思い出させたくなかったから。
そんな事を考えている間に。
「到着です」
エレベーターがストップし、扉が開く。すると、
「……あらぁ? あら、あら、あら。懐かしい顔ね。カグラ、フェイウルク」
透き通った少女の声が、部屋の中から聞こえてきた。
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