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「あったわよ。超々巨大な『昏きもの』の反応」
「ホントか!? どこらへんで!?」
思わず、カグラはルシエに詰め寄っていた。しかしルシエは気にする事無く視線――眼は見えないが――を後ろに向ける。
「それならアイツに訊いた方がいいわ。私は妹と違って探血能力は低いのよ。『昏きもの』でもないし。ただ、私が感じたのは漠然とした強い『力』」
ルシエが顔を向けた先に、紅い髪の男が机に突っ伏して寝ていた。
「あの力が『昏きもの』だって事もゼツキから聞いたのよ」
寝ている男はゼツキと言うらしい。しかし熟睡しているみたいで、ピクリとも動かない。
「……ゼツキ、聞こえてたでしょう? 早く起きなさい」
しかしゼツキは一向に起きる気配が無く。
「…………」
ルシエの笑顔が不自然に歪む。即座に危険を察知したカグラは、急いでその場から離れた。
「聞こえてるんでしょう? ねぇ、ゼツキ?」
およそ部屋にあった椅子やらテーブルやらカップやらが宙に浮いて……全てがゼツキと真っ直ぐに飛び、そして直撃した。
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