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「痛ってぇぇぇ! 何しやがんだルシエ!」
軽く瓦礫の山みたいになっている椅子とテーブルの固まりから、ゼツキが叫びながら飛び出す。紅い髪、額より少し上の辺りにかかってるゴーグル、右半分白で左半分黒といったモノクロの学生服のようなスーツ……そして何より紅く光る眼が特徴的な男だった。
「無視するのが悪いのよ」
それにしてもそれはお仕置には酷すぎる……とはカグラは思わなかった。むしろ修行時代を思い出して身震いしたくらいだ。
「聞いてるのよ。2週間くらい前に感じたあの『力』は『昏きもの』だったのよね?」
ルシエの問いに、頭を掻きながらゼツキはぼそっと呟く。
「……めんどくせ」
「何か言った?」
「何も! そうだ! その通りだ! 多分だが、ありゃぁ『四大霊鬼』の誰かだ。そうじゃなきゃ、あんなにデカい訳が無ぇ」
『四大霊鬼』……その言葉を聞いた瞬間、カグラの顔色が変わった。
「ゼツキ、それ本当……か?」
「あぁ、ホントだ。……残念だぜ、是非ソイツと戦ってみたかったのに」
ゼツキは心底つまらなさそうに首をゴキゴキ鳴らした。
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