『そして出会いは訪れる』

16/24
前へ
/1522ページ
次へ
 ゼツキ=マテイル=キルウィザード。『埋葬機関』第七番戦鬼。そして、ルシエの契約鬼。紛れもない、『昏きもの』である。   「最近暴れなさスギだぜ……寝るしかやる事がねぇ」   「仕方無いわ。私達が出向く程の依頼が来ないのよ」    これまたつまらなそうに、ルシエは目の前の――さっき唯一飛ばさなかった――テーブルに置いてあった紅茶を啜った。と、そこに。   「まだ、いるかわかるか?」    カグラが、割り込んだ。   「ん? どういう意味だ、カグラ」   「その『四大霊鬼』は、まだこの街にいるのを……知りたい」    明らかに、カグラの様子が変わっていた。異常な程手に汗をかき、その表情は凍り付いたかのように青白くなっていた。何が息苦しいのか、呼吸まで荒くなっている。何より、全身が震えていた。   「……どうしたんだよ、カグラ」   「お願いだ! 教えてくれ! どうなんだ!」    何故か、カグラは必死になっている。その理由をわかっているフェイは、部屋の隅で静かに溜め息をついた。
/1522ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1241人が本棚に入れています
本棚に追加