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その頃、街の通りを歩く人影がみっつ。茶髪の黒いスーツ、銀色の髪にパーカーと単パンニット帽に尻尾のようなアクセサリか何かをつけた少女、そして……紅い髪をポニーテールにした紅いブラウスと黒いスカートの、何より目立つのが燃えるような紅い眼の少女。
「ちょっとロウ……今日は2人で買い物に行く予定じゃなかったの?」
その紅い少女が、黒スーツに明らかに怒りとわかる視線を送る。
「仕方無いじゃないか……フウコちゃんも行きたがったんだから」
その視線に軽く冷や汗をかきながら黒スーツ――ロウは答えた。
『ロウレニス=レンフィールド』。この街、『ルナヴィス』で探偵業を営んでいる。
ロウは目の前ではしゃいでいる銀髪の少女に眼を向けた。
「そんな怒んないでよ、ランス」
しかしあくまで紅い少女――ランスは不機嫌。
「……ロウの馬鹿」
「何怒ってるの~ランス~」
2人の前を歩いて1人はしゃいでいたせいでそんな様子に微塵も気付いていない銀髪の少女――フウコが笑顔で問い掛けてきた。
「なんでもない! あとランスって呼んでいいのはロウだけ!」
ランスはそのままそっぽを向いてしまう。それを見て静かに溜め息をつくロウであった。
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