『偽者使い』

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 そうする事で二つの剣がひとつになる……訳でも無く、先程までと同じように二剣を放し、両手に持った。  見た目だけなら、何も変わっていないように見える。   「ふぅん、それ、何かのおまじない?」   「喰らってから驚きな」    言うがはやいか、カグラは左手の剣をランスに向けて投げた。  恐ろしいまでのスピードで飛んでゆくが、ランスは少し体を捻るだけで避ける。  剣は目標を失ってそのまま真っ直ぐ飛び、公園に生えていた木に突き刺さった。   「剣を投げるのが本気なの?」    悠然とカグラを見据えながら、ランスはあくまでも尊大。両手を中段に構え、そこから紅い雷がバチバチと火花を散らしていた。   「焦るなよ」    カグラが横に走り出す。ランスとの距離を保ったまま、円を描くように。   「的を絞らせないつもりなら無駄だよ!」    狙いすました紅い雷撃。カグラはギリギリの所で体を逸らし狙いを外した。  そうしている間にカグラは元いた所付近まで、一周し終えていた。   「ハッ、油断しすぎだぜ、『昏きもの』。こ~んな簡単に思惑通りになってくれるなんてよ」   「走るのが思惑通り?」    カグラのこめかみに青筋が浮かぶ。軽く声を震わせながら、   「言ってやがれ……終わりだけどな!」    叫びと同時に、柄にある小さなボタンを押しながら、右手の剣を思いっきり後ろに引いた。
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