1241人が本棚に入れています
本棚に追加
/1522ページ
そうする事で二つの剣がひとつになる……訳でも無く、先程までと同じように二剣を放し、両手に持った。
見た目だけなら、何も変わっていないように見える。
「ふぅん、それ、何かのおまじない?」
「喰らってから驚きな」
言うがはやいか、カグラは左手の剣をランスに向けて投げた。
恐ろしいまでのスピードで飛んでゆくが、ランスは少し体を捻るだけで避ける。
剣は目標を失ってそのまま真っ直ぐ飛び、公園に生えていた木に突き刺さった。
「剣を投げるのが本気なの?」
悠然とカグラを見据えながら、ランスはあくまでも尊大。両手を中段に構え、そこから紅い雷がバチバチと火花を散らしていた。
「焦るなよ」
カグラが横に走り出す。ランスとの距離を保ったまま、円を描くように。
「的を絞らせないつもりなら無駄だよ!」
狙いすました紅い雷撃。カグラはギリギリの所で体を逸らし狙いを外した。
そうしている間にカグラは元いた所付近まで、一周し終えていた。
「ハッ、油断しすぎだぜ、『昏きもの』。こ~んな簡単に思惑通りになってくれるなんてよ」
「走るのが思惑通り?」
カグラのこめかみに青筋が浮かぶ。軽く声を震わせながら、
「言ってやがれ……終わりだけどな!」
叫びと同時に、柄にある小さなボタンを押しながら、右手の剣を思いっきり後ろに引いた。
最初のコメントを投稿しよう!