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「さて……質問だ。10年前……自分が何をしたか、覚えているか?」
絶妙な力加減でワイヤーを調節しながらカグラは問う。
「10年前……? ……花嫁修行かな」
ピクリ、とカグラの眉が動く。
「テメェ……ふざけてんのか!?」
「事実だよ。ボクだって不本意でやらされてたんだから」
ワイヤーに少し力が入る。首の薄皮が裂け、多くはないが血が流れた。
「……本気で言ってんのか、それ」
「嘘なんか言って何になるのさ。この状況で。キミ馬鹿?」
「テメェ! 口の聞き方に――」
カグラが、ランスにだけ意識を向けた瞬間だった。
「今だっ!」
そんな叫び声と同時に、フウコがカグラの右腕に飛び付きその手首を噛んだ。
「……っ!」
思わず、剣を取り落とす。
「よくやったよ、フウコ」
その間に、ランスは雷を発生させてワイヤーを断ち切った。
「あっ! くそ……テメェ! 邪魔だ、寝てろ!」
カグラは未だ噛み付いて離さないフウコの首筋に、空いてる左手の手刀の一撃を喰らわせた。
当て身。
カクッ、とフウコは気絶した。
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