『偽者使い』

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「フウコ!」    カグラの腕の中でがくりとうなだれたフウコを見てロウレニスは叫ぶ。   「慌てんなよ、気絶させただけだ」    気絶したフウコを地面に寝かせるように置いて、その後で剣を拾い上げた。   「やってくれたぜ……折角の尋問タイムが台無しだ」   「それはボクのセリフだよ。硬化ワイヤーなんて真似、よくも」   「気付かないテメェが悪い」    今度はランスのこめかみに青筋が浮かぶ。   「これはもう……キツいお仕置が必要だね……!」    ランスの体から、カグラへ向かって何本もの雷の矢が飛ぶ。  カグラも応戦して剣で弾くが、全部はとても弾けず、一本が左肩を掠めた。ただ、それだけで。   「……~~!」    声にならない痛み。僅かな傷口から、雷の追撃が入るのだ。   (クソ……左腕が……動かねぇ。掠っただけでコレ……まともに当たったら……どうなる!?)    そんな事を考えながら必死に弾いていた時、カグラの視界にある人物が眼に入った。  ロウレニス。  フウコを助けようと、カグラの近くまで来ていたのだ。   「飛んで火に入る夏の虫……ってか」   「え……?」    ロウレニスがそんな声に気付いた時には、喉元にギラリと光る刃物が押しつけられていた。   「ダメだろ、そんな無防備に近付いたら」   「なんでボクがぁぁぁ」    剣の持ち主はカグラ。雷の矢から転がるように抜け出していた。こうしてものの見事に、ロウレニスは人質として捕らえられてしまったのだった。
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