『偽者使い』

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 ぐっ、と脚に力を込め、後ろに飛ぶように駆け出した。  逃走、である。    「逃がさないよ!」    ランスの放った雷が、カグラの右脚を掠めていく。それだけで、   「ぐぅ……っ!」    体のバランスを崩し、地面に倒れ伏した。そこへ、更に追撃の雷が背中に直撃する。  声など出せなかった。その口からは鮮血が飛び散り、ただ言葉にならない嗚咽が漏れるのみ。   「どう? 反省した?」    カグラの目の前には、ランス。俯せのカグラを見下ろす角度で。   「ハ……こんなモンかよ……10年前はこんなの比じゃ無かったぜ……」    途切れ途切れに言葉を紡ぐ。が、相手にその意味は伝わらない。   「10年前……そういえばさっきもそんな事言ってたね。まぁ、ボクには関係無いけど」    三度、紅い雷が発生する。   「じゃ……さよなら」    本気の、質量で。それが、カグラに落ちようとする、直前。   「待って、ランス!」
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