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止めるように叫んだのは。
「ランス! この子は人間だ! そんなの当てたら死んじゃうよ!」
ロウレニスだった。2人の間に割り込む形で、入り込んだ。
「どいて、ロウ。ソイツの方から襲ってきたんだよ? ロウも人質にとったし、フウコにも手をだした。許せないよ」
「でも、人間を殺すのはダメだ。きっとこの子にも何か理由があるんだよ」
ロウレニスはくるりと振り向いて、しゃがみ込んでカグラと視線を合わせる。
ロウは優しすぎるんだよ、とぶつぶつ呟いているランスをスルーして問い掛ける。
「君、カグラちゃんって言うんだよね? 話を聞くよ。どうしてこんな事したの?」
が、しかし。
「うるせぇ……テメェになんざ……関係無ぇよ……引っ込ん……でろ」
そう言って、カグラを辛うじて動く右手で何かをロウに向かって投げた。クナイのようなそれはロウレニスの頬を裂いて、血を流させる。
「次は……眉間だ……わかったら……さっさと消えろ……」
瞬間、カグラの右手に雷が落ちる。もう、嗚咽さえでなかった。
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