1241人が本棚に入れています
本棚に追加
雷は、確実にカグラに直撃した。強大な圧力、電流が身を焼き焦がす。最後には、真っ黒になって消え去った。
「……え?」
そんな言葉を放ったのは、ランス。そう、消え去ったのだ。跡形も無く。
ランス自身、怒りに任せて撃ったとはいえ、消し飛ぶ程強く撃ったつもりは無かった。というより、跡形が無いのがおかしいのだ。どれだけ強い雷を受けたとしても、焦げ跡くらいは残るはずだから。
「あ~……間一髪。良かった……間に合ったぜ……大丈夫か、カグラ」
ふいに、前方からそんな声が聞こえた。見てみれば、知らない男。黒いスーツなのはロウと一緒。だが、まず体格が違う。長身痩躯、ボサボサの黒い髪にサングラス。何より、顔の左半分の異様な刺青。
そして、その腕の中には、カグラ。
確かに雷を受けたハズのカグラが、刺青男に抱えられていたのだ。
ただ、先程までのダメージは本物のようで、息は荒く焦点が定まっていなかった。
「誰? ……それより、どうやって?」
「俺? 俺はフェイウルク=ディズ=ウェルサーガ。……初めまして、『紅雷の姫君』……ランステッド=シェル=アルナカルタ」
最初のコメントを投稿しよう!