『偽者使い』

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 雷は、確実にカグラに直撃した。強大な圧力、電流が身を焼き焦がす。最後には、真っ黒になって消え去った。   「……え?」    そんな言葉を放ったのは、ランス。そう、消え去ったのだ。跡形も無く。  ランス自身、怒りに任せて撃ったとはいえ、消し飛ぶ程強く撃ったつもりは無かった。というより、跡形が無いのがおかしいのだ。どれだけ強い雷を受けたとしても、焦げ跡くらいは残るはずだから。   「あ~……間一髪。良かった……間に合ったぜ……大丈夫か、カグラ」    ふいに、前方からそんな声が聞こえた。見てみれば、知らない男。黒いスーツなのはロウと一緒。だが、まず体格が違う。長身痩躯、ボサボサの黒い髪にサングラス。何より、顔の左半分の異様な刺青。  そして、その腕の中には、カグラ。  確かに雷を受けたハズのカグラが、刺青男に抱えられていたのだ。  ただ、先程までのダメージは本物のようで、息は荒く焦点が定まっていなかった。   「誰? ……それより、どうやって?」   「俺? 俺はフェイウルク=ディズ=ウェルサーガ。……初めまして、『紅雷の姫君』……ランステッド=シェル=アルナカルタ」
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